【国内主要地域のホテルの方へ】今こそフェンスを張ろう!

先日の日経新聞でも取り上げられていましたが、これまでインバウンドの恩恵を受けてきた大阪地区の客室稼働率が前年と比べて減少傾向が続いているとのこと。実際に幾つかの大阪のホテルの方にお聞きしてみると、トレンドの悪さを実感している方ばかりです。この傾向は東京でも同様なようです。

原因は幾つか考えられます。

  • 円高に振れてきている影響 (ホテル側は同じ料金のつもりでも、為替差損でお客様には値上げに感じる)
  • 民泊の宿泊需要吸収が拡大してきている影響
  • 主要地域の高価格を避け、周辺地域に需要が分散してきている

さて、原因も気になるところですが、急を要するのはこの状況を乗り切る対策です。
実際に多くのホテルが値下げをすることで現在の状況に対応しようとしているようです。

でも。

過去にも需要が低下した時に安易な値下げをして、その後需要が回復した時に値上げが行いにくかったことを覚えておいででしょうか。また、昨年度の値上げ幅の大きさがお客様にはあまり良い感じを与えていなかったのではないでしょうか。

極端な価格変動は、消費者の不信感を招きかねません

値下げするにしても値上げするにしても、価格を大きく変えるにはお客様に伝わる相応の理由が必要なのです。

※ 大幅な価格変動の目安としては10%以上を目安と考えています。

 

そこで現在是非検討して欲しいのが「レートフェンス」です。

 

レートフェンスとは、似通った商品の価格差に対する理由づけを行うことで、不要な値崩れを防止する技術です。

代表的なものは航空券です。
早割型の商品は値段は安いのですが、キャンセル料が高かったり便の振り替えが効かなかったり、マイルの付与率が低かったりなどと「安いなりの理由」が設定されています。その為、主にスケジュール変更の可能性が高い出張客には手が出しづらく、同じ時期に予約しようとしても普通運賃型の商品を選ぶ方が良いと考えていただきやすいのです。

基本となる商品やブランドの価値を損なうことなく、需要促進や新たな需要開拓のためにフェンスを展開する事例は、他の業界にも広く見られます。

例えばファッション業界では、ファーストライン、セカンドラインという区別が見られます。
イタリアを代表する高級ファッションブランドであるPRADAは、MiuMiuというセカンドラインを持っています。
PRADAの価格を下げればこれまで手の出なかった層からの購入が期待できますが、現在のブランドイメージを支持する層からは離反のリスクが考えられます(高級ブランドを持つ人は、限定感や特定感などを大切にする人も多い)。
そこで、セカンドラインということでブランドを分離し、ファーストラインのお客様を維持したままセカンドラインで新たな客層を開拓するわけです。

同じような取り組みはレストランでも見られます。

恵比寿にあるロブンションは、2・3Fが「ガストロノミー “ジョエル・ロブション”」となっており、食べログによると予算は30,000円~となっていますが、1Fには「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」で同じく予算は10,000円~となっています。

 

では、ホテルではどうすればよいのでしょか。

 

基本は航空業界の方式に習い、安価なものは条件を厳しくすることが望ましいでしょう。

ちょうど海外OTAからのキャンセル率の高さ(複数のホテルの傾向値で、ある海外OTAはキャンセル率が60~70%にものぼります!)が問題になっていることもありますので、安価な商品ほどキャンセル条件を厳しく(具体的にはキャンセル料の発生時期を早期化・かつキャンセル料率も上げる)

現在ほぼすべてのホテルで使われている宿泊約款は、昭和60年が初版となっており、現状に即していない部分も多々見られます。特にキャンセル料の規定は旅行業のそれと比較しても宿泊約款がゆるい部分もあり、総じて不十分ではないかと考えています。

また、昨今のお客様の反応を見ても、同一商品の価格を需要に応じて上げ下げする幅は3倍以内に抑える方が好ましいのではないかとも考えています。(3倍の料金さはひどい、との記事が散見される)

現在の高単価は、本来のホテルの収益性を維持するという面からは望ましいとも考えられますし、他の海外主要都市と比較しても極端に高単価でないとの指摘もあります。

将来元の価格に戻すこと、ブランドイメージを損なわないことを考えると、低単価による需要促進を狙うのであれば、レートフェンスを張っておく方が望ましいと言えるでしょう。

まとめ

  • 需要喚起のためにADRを10%以上低下させるような価格戦略の変更を行う場合は、レートフェンスを設定する
  • フェンス設定の主な要素は以下のとおり
    • キャンセル料の発生時期 及び キャンセル料の%
    • 決済方法の指定 (事前カード決済のみ など)
    • 日程変更に対する変更手数料の検討 (航空・旅行では設定がある)
    • 部屋タイプ指定不可 (訳ありなどの表現は商品価値を棄損するので非推奨)

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カテゴリー: 1.戦略を考える, 2.レベニュー・マネジメント パーマリンク

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