ホテルとマーケティング

Marketing

「マーケティング」はホテル業界のみならず広く全ての業種や組織で活用されていて、その定義は下記のとおりです。


AMA (アメリカマーケティング協会)が2004年に改定した定義

Marketing is an organizational function and a set of processes for creating, communicating and delivering value to customers and for managing customer relationships in ways that benefit the organization and its stakeholders
マーケティングとは、組織とステークホルダー(関与者)両者にとって有益となるよう、顧客に向けて「価値」を創造・伝達・提供したり、顧客との関係性を構築したりするための、組織的な働きとその一連の過程である。

日本マーケティング協会が1990年に発表した定義

マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である

ちょっと難しいので、私がホテルの方に説明するには「自然にものが売れるための仕掛けづくり」だと簡単に説明してます。


世間一般でも「マーケティング=宣伝・販売促進活動」だと考えられているようですが、これはマーケティングの一部だけを捉えたもので、誤りだと言えます。


外資ファンド系ホテルチェーンを中心に、ホテル再生や増収の手段として、マーケティングが注目されています。ここでいうマーケティングは、上の定義に基づいた総合的なもので、主に「需要を増やす手段」として捉えられています。


一方で日本のホテルの場合多く見られるのは、マーケティングの機能や役割が複数の部門部署に分散してしまっているケースです。

例えば、商品の作成一つとっても、分散が見られます。
■ キャンペーンやメディア用露出強化の商品は「企画部門」作成する
■ 日常的に販売する商品は「宿泊予約」が作成する
■ 旅行代理店へ提供する商品は「営業」が決定権を持つ

分散そのものは、悪いことではないのですが、情報が偏っていたり、ホテルの基本戦略がきちんと伝達されていないと、有効性でないモノになったり、部門間で協力体制が取りにくくなったりする傾向があります。

となると、
効果的なマーケティングの活用には2つの方向性があることになります。
1.マーケティングの基礎をしっかりと把握した人が、それぞれの部門部署に分散している機能を総合的にコーディネートする
2.機能の分散を止めて一か所にまとめる

では、ホテルのマーケティングが最低限持つべき機能とは何でしょうか?
マーケティングには多岐にわたる手法があり方法論がありますが、私がお勧めするのは、
「ターゲットの設定」及び「マーケティングミックス」に基づく整理
です。

Marketing Flow

ターゲットの設定とは、そのホテルにとって獲得すべきお客様(ターゲット)を明確にすることで、主に予算作成の時期に「マーケットセグメント」をどのような割合とするか(マーケットミックス、ビジネスミックス、ゲストミックスなどホテルによって呼び方は様々)を決めることです。

マーケットミックスは、ホテル業特有の制約条件から、消費財販売といった業種に比べて重要度が高くなります。
ホテルは客室数が販売数量の上限として「制限」されてしまうため、需要が強いマーケットを持つホテル(私の基準では年間稼働率80%以上のホテル)ほど、満室になる状況の下で、どのお客様をどの割合取るのかというマーケットミックスが重要になるということです。
簡単に言うと、満室が予測される日に安い料金の団体客を取りたいですか?ということですね。


マーケティングミックスとは、4Pとも呼ばれている次の観点を指しています。
■ Product (商品)
■ Price (販売価格)
■ Place (販売経路)
■ Promotion (広告宣伝)

また、これらのうち商品、価格、経路は、
■ 初期の設定(商品開発、基本売価の設定、経路の開拓)
■ 日常的なコントロール(商品の販売可否、ダイナミック プライシングによる流動的な価格の調整、経路の開け閉めなど)
に分割して考える方が良いでしょう。

端的に言うと、後者の日常的なコントロールが「レベニュー マネジメント」の範囲ということになります。

広告宣伝に関しては、ここだけが部署として存在している場合、ホテル全体のプロモーションやイメージ戦略を専門にしていることが多いようです。
結果、日本の殆どのホテルでは消費財販売などの業種に比べ、それぞれの商品をプロモーションする機会が非常に少なくなっています。
(ここはかなり専門的な議論が必要な部分です)


いずれにせよ、ターゲット設定+マーケットミックスの観点から、ホテルのマーケティングを整理することで、戦略が整備され、劇的な増収を果たすことも不可能ではありません。

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