宿泊の電話予約をどう販売するべきか

電話予約

レベニュー・マネジメントのトレーニングの中で、競合ホテルの電話予約受注方法を確認することがあります。そうすると、今の電話予約の販売方法には大きく3つのタイプがあることが分かります。
電話予約料金(TEL料金)、正規料金、WEB料金に分けて上記の3つのタイプを整理すると、以下の通りとなるようです。

  1. 電話予約は正規料金で販売 正規料金=TEL料金>WEB料金
  2. 電話予約は専用料金で販売 正規料金>TEL料金>WEB料金
  3. 電話予約はWEB料金で販売 正規料金>TEL料金=WEB料金

※ ここでいう電話予約の料金は、企業契約や会員料金などではなく誰でも予約できる一般料金です。

さて、電話予約をどう販売する方が良いかと言えば、圧倒的に

「電話予約はWEB料金で販売 正規料金>TEL料金=WEB料金」

をお薦めします。
お薦めの理由を説明する前に1.2.の方法の問題点を挙げてみましょう。

電話は正規料金で販売するのが間違いの理由

レベニュー・マネジメント(RM)は「需要予測を基に 販売を制限することで 収益の拡大を目指す 体系的な手法」と説明しています。需要が高ければ販売を制限し、需要が低ければ制限を緩めるのが基本で、制限には料金の上げ下げが含まれます。

この需要は、主にお客様の種類毎に考えることになります。
ビジネス目的のお客様は平日の利用が中心ですし、レジャー目的のお客様は週末や夏休みなど学校が休みの時期の利用が中心となります。この様にお客様の種類ごとに需要のピークは異なります。

一方で、予約経路と呼ばれる「どうやって予約するか」という方法には、主に 直接予約(電話や来館)、WEB予約、旅行代理店からの予約の3つがありますが、経路ごとに需要のピークは(それほど大きな)違いはありません。
リゾートホテルで考えてみるとよくわかるのですが、夏休みには直接予約もWEB予約も旅行代理店からの予約も増えるのです。

需要が同じなら料金が同じになるのがRMですから、電話予約を正規料金で販売するのはRMの観点からは間違いとなります。
電話予約を正規料金で販売すると、需要が低い時期に正規料金で販売するとお客様を逃がすことになり、結果稼働率をのばすことが出来なくなる、となるデメリットが大きいです。

この販売方法はマーケティングや顧客満足の面からも問題があります。
以前は「電話予約してくる人はWEBを見ていないから、高く販売しても大丈夫」という考えの方もいらっしゃったようですが、今やスマートフォンの時代、WEBを見ながら電話予約をしてくる方は少なくありません。

そんなお客様に正規料金を伝えるとどうなるか・・・
予約が取れないことはもちろんですが、電話予約を正規料金で販売することで「お客様に不誠実なホテル」という口コミが広がるリスクもあるのです。実際にTwitterやFacebook、トリップアドバイザーなどにその手の口コミが見られます。気になる方は「ホテル 電話 高い」で検索してみてください。

 

電話専用料金での販売をお薦めしない理由

RMの考え方からWEBも電話予約も同じ需要として販売するが、電話予約には手間がかかるから専用料金で販売しようという考え方は、あながち間違いではありません。
実際に沖縄のかりゆしLCHでは「電話予約は1泊あたり220円の手数料が必要」と公式サイトに明記(2014年9月19日時点で確認)しています

それでもお薦めしない理由があるのです。

電話予約を専用料金で販売すると、コントローラーは電話予約とWEB用の料金の両方を作成し、指示する必要があります。
「電話予約はWEBより200円UP」という簡単な物であればまだ良いのですが、電話予約は5段階の料金、WEB予約は10段階の料金・・・となると管理の難易度・手間は跳ね上がります。

一番の手間は予約担当者に掛かります。
お客様がWEBを見て予約をしてくることが多い以上、料金が違えばその理由を説明しない訳にはいきません。その説明をする間に、WEBと同じ料金で予約を受け付けてしまう方が早いと思います。

しかも、「それはWEBの料金だからWEBから予約してください」と断ることはリスクも伴います。
自社サイトから予約してくれれば良いのですが、楽天トラベルなどOTA経由の予約になれば手数料が必要になります。
それでも自ホテルに予約してくれればまだ良くて、OTAで別のホテルを見ているうちに、「こっちでいいや!」と別のホテルに予約されてしまうかもしれません。

電話予約をWEBに誘導するリスク

  • 手数料が必要になるかもしれない
  • 競合ホテルに予約が逃げるかもしれない

この様に考えると、電話予約を専用料金で販売するのはお薦めできなくなるのです。

 

電話予約をWEB料金で販売する効果

まず、考えられるデメリットから。

  • 電話予約を高く販売しなくなる分、ホテル全体のADRは微減する可能性がある

この程度でしかありません。
しかもADRの微減は、これまでの経験上無視できるほど小さな物でしかありません。

電話予約をWEB料金で販売することのメリットには以下の物があります。

  • 電話予約の受注確率の向上
  • 電話予約の顧客満足度改善(悪い印象を無くすことが出来る)
  • スタッフのストレス軽減

特にスタッフのストレス軽減の効果は大きいです。
電話予約とWEBの料金が違うことでクレームが起きたり、WEBを見ていることが分かってそのWEBを探して回答する手間が大きかったり、想像以上にスタッフは電話予約に対してストレスを抱えています。

電話予約をWEB料金で販売するのに「どうやってスタッフにWEB料金を知らせるか」という方法で苦労してる方もいらっしゃるようです。
解決策は簡単で、「自社サイトを見ながら電話予約の可否や料金を回答する」ことでよいでしょう。予約を受ける可能性があるPCに、自社サイトの予約画面を常時表示しておけば良いのです。
※ 電話予約でお客様に最初に回答するプランを決めておくこと

この方法のメリットは以下の通りです。

  • 残室数≠販売可能客室数であるが、残室画面を見せるよりコントロールが容易になる
    (WEBに在庫が出ている限り販売しなさい、という指示はスタッフに分かりやすい)
  • PMSの残室画面に指示を出すより(どうせ設定する)TLLを修正する方が作業が容易
  • WEBを見ているお客様とのやり取りが円滑になる

 

 

この機会にぜひ、電話予約の販売方法を見直してみてください。
電話予約をWEB料金にすることでの増収は正直ほとんどありませんが、それでも全体的にプラスの効果が多いのですから。

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