レベニュー・マネジメントとは:実践に必要な3つの要素

レベニュー・マネジメント(RM)とは「需要予測を基に 販売を制限する事で 収益の拡大を目指す 体系的な手法」と定義できます。

では次に、RMを実践する上で必要になる3つの要素について考えてみましょう。

RMを実践するにあたり必要となる大きな要素は以下の3つです。

  • 理論的な予測
  • 販売の制限
  • ホテルマーケティング

RM Factor

ホテルは最大の需要に合わせて客室を用意する事が出来ない産業構造を持っています。
結果、需要が高い場合には供給(客室数)が不足する事になりますので、「誰かを断る必要がある」事になります。
一方で需要が低い場合には供給が余る事になります。百貨店等の物販業と異なり、ホテルは今日余った在庫(客室)を明日に繰り越して販売する事が出来ません。この為、「余らせるくらいならお客様が感じるコストパフォーマンスを上げる(価格を下げる事が多いがこれに限らない)事で販売できない客室を減らす方が良いのです。
ちなみに、この繰り越しが出来ない在庫の事を「Partial Inventory(パーシャルインベントリー)」と言います。

この様な理論的背景があって、RMは需要を予測し需要に応じた販売制限を行うのです。

 

理論的な予測

RMは需要を予測し需要に応じた販売制限を行うのですから、正確な予測が重要となります。需要予測の無いRMと言うのはあり得ません。

RMを実践していると錯覚している方はオンハンド(OH)を基に販売制限を行っている場合があります。OHを基にした販売制限でもある程度の増収効果を得る事が出来ますが、団体比率が多いホテルの場合、団体のWash(客室予約数の減少)を考慮しきれていない事が多く、「団体Wash前でOHが高い状態 → 強い販売制限(例:高単価販売)」から「団体Wash後のOHが低い状態 → 弱い販売制限(例:低単価販売)」としてしまい、十分に販売量を確保できなかったり、満室に出来たとしてもADRを極端に低下させてしまったりといった問題を生じます。
需要予測を正確に行えている場合、上記のケースでは団体Washを事前に織り込みますので、団体によってOHが高かったとしても販売制限をむやみに強くしたりせず、よりよい結果を得る事が出来る様になるのです。

RMにとっての需要予測とは、単にOHを把握する事ではなく、OHを基に過去の予約のトレンドを加味して「最終的にどこまで予約が入るか」を知ると言う事です。
その為に必要になるのが「ブッキングカーブ」と呼ばれる予約の傾向(ブッキングペース)を視覚化したグラフです。
ブッキングカーブを使用しないRMはあり得ないと思って頂いて結構です。

ブッキングカーブに加え、Reservation Status(予約区分)の管理も重要となります。
特に団体のReservation StatusはWash予測に必要不可欠です。
(※「レベニュー・マネジメント視点の団体管理」もご参照ください)

 

販売の制限

需要予測を高度に出来たとしても、それに応じた販売の制限を行える仕組みが出来ていなければ十分な効果を得る事が出来ません。
最も効果があり簡単な販売制限の方法は「価格の変動」です。需要が高いと予測される場合には販売価格を上げ、需要が低いと予測される場合には販売価格を下げるというものです。
他にも様々な販売制限の方法があります。

価格の変動を行うにしても、そのホテルの状況や戦略に応じた価格帯を用意する方が効果が出やすくなります。
単価上昇を狙うホテルの場合には予算で目指すADRより高い価格帯が多い方がいいですし、数量獲得を狙うホテルの場合には予算で目指すADRより低い価格帯が多い方が良い訳です。

また、ビジネス利用のお客様とレジャー利用のお客様では需要のピークが異なる事が多いのですが、需要予測に応じた販売制限を行うRMのセオリーから考えれば、ビジネスマーケットとレジャーマーケットにはそれぞれ異なる販売制限を行うべきです。
具体的には最低限、WEBやTELなどのイールダブルチャネル(価格をホテル側が自由に調整できる予約経路。AGTなどいったん決めた価格をホテル側が変更できないような予約経路はノンイールダブルチャネルという)では販売価格をビジネスマーケットとレジャーマーケットでそれぞれ別々に調整できる必要があります。

 

ホテルマーケティング

マーケティングは「自然とものが売れる仕組みを作る事」と言え、一般企業も含め増収の為に広く取り入れられています。ところがホテルの場合、マーケティングの機能が十分に整備されていない事が多いようです。

一口にマーケティングと言っても様々な方法やセオリーがあるのですが、最低限押さえておいた方が良い王道とも言えるのが「ターゲティング→マーケティングミックス」の流れです。

ターゲティングとは、様々なお客様の中から特定のお客様に狙いを絞る事です。
そして狙いを絞ったお客様に合わせて「マーケティングミックス」を検討します。
マーケティングミックスとは以下の観点を言います。

  • Products(商品)
  • Price(価格)
  • Place(予約経路)
  • Promotion(広告宣伝)

つまり、お客様にあう商品、お客様の予算に合う価格、お客様が欲しいと思ったときに予約できる経路、お客様の目に留まりやすい広告宣伝を考える訳です。
ですので、宿泊プランを考える事も、価格を決める事も、予約経路を選ぶ事も、広告宣伝もマーケティングのひとつなのです。

ホテルの中ではこれらの機能が部門毎に分散されている事が多く、十分にトレーニングを受けた方も少ない為マーケティングの機能が十分に整備されていないと言える訳です。

ところが、ホテルのマーケティングは一般企業のそれとやや異なる側面があります。

ターゲティング→マーケティングミックスを適用する事で得られる効果は、主に販売量の増加です。
一方でホテルは供給を需要が上回る事が多い産業構造を持っていますので、一概に販売量が増えれば良いと言う訳ではありません。

つまりホテルのマーケティングは一般企業のそれと比べると「特殊」で、特に単価上昇を狙うホテルの場合には「今後増やしたいお客様」にマーケティング活動を適用し、「今後減らしたいお客様」にはマーケティング活動を制限する必要があるのです。

 

このようにRMを実践する為には下記の3つの要素が重要なのです。

  • 理論的な予測
  • 販売の制限
  • ホテルマーケティング

 

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