PMSにはここがたりないのでは? ① フロント精算の場面

亜欧堂はホテルシステム(PMS:Property Management System)導入支援を行っており、現在日本国内で流通している主要なPMSの機能はおおよそ把握しています。
また、レベニュー・マネジメント導入支援や業務効率改善支援の過程で現場に伺うことも多く、基本的なオペレーションも把握しています。

その中で、複数あるPMS各社にほぼ共通して「これが足りない(あるいは普及していない)のでは?」と思っているものを挙げみたいと思います。

これは細かなことですが、生産性向上を図るには避けられないものばかりです。
ぜひ経営者やマネジメントレベルの方に読んでいただき、
まずは問題点を認識していただければと思っています。

PMSの改善の協力の必要があればご連絡ください。
当方の把握違いのご指摘もぜひお願いいたします。
PMSベンダーの方からのご連絡で、機能が確認できましたら紹介できればと存じます。

さて、初回はフロント精算で不足している機能についてです。

 

フロントでの精算種別は多岐にわたる

フロントで対応すべき精算種別(支払い方法)がいくつあるかご存知でしょうか?

  1. 現金
  2. クレジットカード
  3. 売掛
  4. 事前カード決済
  5. ポイント精算
  6. クーポン・バウチャー
  7. その他

主なものだけで上記6種類です。そしてこの全てにPMSは機能的な不足があるのです。

 

現金精算は請求金額・お釣りがわからない

クレディセゾン社の決算資料によると2016年の現金決済比率は49.0%とのこと。
いずれキャッシュレス化が進むと思われますが、
現金精算はまだまだ日本国内では主流な精算方法です。

さて、ビジネスホテルのフロントで電卓に請求金額を打ち込んで見せている場面を見かけないでしょうか?
これがコンビニやスーパーであれば請求金額はPOSレジの一部に表示されています。
しかしPMSに精算金額をお客様に通知する機能がなく
スタッフが手作業で電卓に打ち込みそれをお客様に見せているわけです。

そして、現金をいただいた後の釣り銭の表示機能もありません
電卓を使う理由のひとつはこれで、電卓でお釣りを計算しているのです。

「自動釣り銭機」を導入することで、釣り銭の取り間違いは防ぐことが可能です。
しかし、精算金額を通知するシステムは把握できておりません。

 

クレジットカード

クレジットカード精算も、
コンビニなどであればPOSレジにクレジットカード決済端末(CAT)が内蔵されており、POSで打ち込んだ金額が自動的にCATに連動し、
CATが読み込んだカード会社情報をPOSに連動させることができます。

しかしホテルのフロントでは、
CATにもう一度カード決済金額を入力し、
CATから出力された請求先カード会社情報をPMSに打ち込む必要があります。

実はPMSとCATの連動は少なくとも20年程度前の京都のホテルで実現した事例があり、技術的には確立しているにも関わらず、です。
生産性向上に重要にも関わらず、PMSのCAT連動は普及していない機能の代表例です。

ところでカード実物に表示されているカードのブランド名と、
実際に売掛を請求するカード会社が異なることが多いのはご存知でしょうか?

これはホテルとカード会社の契約により、
直接契約のないカードをお客様が使用したとしても、
契約のあるカード会社が代行して受け付けてくれるためです。(概要的な説明です)

このおかげで「使えないカードがある」という状態にはならずにすみます。
一方で、売掛先カード会社の選択ミスという可能性がどうしても増えてしまいます。

その結果、経理側でPMSに登録されたカード会社と、
実際に請求すべきカード会社が合致しているかを確認する必要があるのです。

 

売掛

売掛とは、後日請求書をお客様に送付し振り込んでいただくことです。
主に企業契約や団体利用で発生しますが、稀に個人にも許可しているホテルがあります。

売掛は、例えば先方が倒産するなど「回収できない」というリスクがあります。
そこで「売掛しても良いか」という判断を事前に会社レベルで行う必要があります。

売掛しても良いということになれば、
PMSに売掛の可否が判断できるコード(売掛番号など)を設定する必要があります。

つまり、売掛を行うには事前の準備が必要なのです。

 

事前カード決済

事前カード決済とは、
OTA(Online Travel Agent:WEBの旅行代理店)または自社サイトの予約で、
予約の時点でカード決済が済んでいる(またはチェックアウト時点で精算される)ため、
ホテル側から見るとOTA各社への売掛で良い、ということになります。

ここでややこしいのはOTAから入ってきた予約が
「OTAに請求すべきものか」
「その場でお客様に請求すべきものか」
の判断をフロントスタッフが行わなければならない、という点です。

何かしらフィールドを使って「精算種別」を表示する機能があるPMSもありますが、
そもそもそのフィールドが「手入力」になっている場合も多く、
精算種別を明確にする為、チェックインまでの「準備作業」が煩雑になるのです

仮にそのフィールドが正しく設定されていたとしても、
フロントが精算を行う際に「事前に設定された精算種別しか選べない」という機能は、
ほとんどのPMSが対応していません。

 

ポイント精算

ポイント精算とは、
OTA各社が消費者に提供しているポイントを支払いに充てることです。
これがややこしいのは「精算の一部にポイントを使うお客様が多い」という点です。

例えば10,000円(諸税サービス料含む)で予約を受け付けた際に「800円分だけポイントを使う」ことができます。

するとフロントでは、
「お客様に9,200円をいただく」
「800円をOTAに請求する」
と2回の作業を行う必要が生じます。

問題は「800円OTAにもらう」とポイント精算を自動的には処理しないPMSがあることです。これもチェックイン前の事前準備に手間がかかることになります。

また、間違いが多い作業でもありますので、
お客様との精算の際に、再度確認業務を行っているフロントも珍しくありません。

 

クーポン・バウチャー

クーポン・バウチャーはAGT(旅行代理店)からのお客様との精算に使用します。
同じものと考えられることが多いのですが、本来は異なるものです。

□ クーポン
本来の意味では「切り離しができる切符や割引券」のことですが、
ホテル業においての本来の意味はAGTの発行する現金同等物です。
最近はバウチャーに移行されてきておりあまり見かけません。

□ バウチャー
「予約の証明書」と考えていただいて結構です。
予約の内容が明記されている案内書のようなものです。

クーポン・バウチャー精算は、結局のところはAGTへの売掛です。

ここでの問題は、経理処理が難しくなる点です。
J社など一部のAGTは2泊の予約であっても予約を1泊ずつ通知してきます。

当然PMSへ自動取り込みされた予約は1泊ずつ別々のものになります。
そこでお客さまの利便性を考えて別々の予約を1つにまとめる「結合」を行います。

しかし、売掛の入金時に経理が消し込み作業をしようとすると、
PMSのデータと(例:2泊20,000円)とAGTからの入金データ(例:1泊14,000円、1泊6,000円)とで異なるために、確認作業が煩雑になってしまうのです。

これはPMSの問題というより、
本来はホテルがの実態処理に合わせた予約データをAGTが提供すれば解決します。

しかしこのAGTの例に限らず、
1泊目はOTA A社、2泊めはOTA B社と予約を分けるお客様も増えてきているようです。別々の予約を1つの予約としてまとめる機能がPMSにあれば解消できそうです。

 

欲しい機能をまとめると

  1. 現金
    1. 請求金額を通知する機能
    2. 自動釣り銭機
  2. クレジットカード
    1. PMS<>CAT連動
  3. 売掛
    1. 売掛許可申請のシステムをPMSに内包または連動
  4. 事前カード決済
    1. 精算種別の取り込み
    2. 指定された精算方法が精算時の精算方法として自動的に選択される
  5. ポイント精算
    1. ポイント精算の自動化
  6. クーポン・バウチャー
    1. 1泊ずつの予約をまとめる機能(それぞれの予約は残した上で連泊として扱える)

 

抜本的な解決方法は別にある

いかがでしょうか?

これだけ煩雑であれば覚えるのも大変ですし、当然処理のミスも起きやすいのです。
それぞれに対応した機能がPMSにあれば良いのですが。

ですが、本来はもっと良い抜本的な解決方法があります。
それはまた次回、説明させていただければと思っています。

カテゴリー: 3.ホテルシステムの導入支援 | コメントする

宿泊部門増収支援の事例紹介 01

レベニュー・マネジメント(RM)は高度なノウハウを持つ人物しかできないのでしょうか。実は、体型的なトレーニングと現実的なツールがあれば、誰でもできる様になるのです。

ルームコントロールの経験が全くなかったスタッフが、1年でRevPARを約125.6%に伸ばせた事例を紹介することで、亜欧堂がどのようにサポートしているかをご確認いただければと思います。
この施設はRevPARが単純に伸びただけでなく、競合他社と比べてもRevPARの成長率が高くなっています。(本年度のRGIは1.06)

 

3年ほど前、沖縄県内にある宿泊特化型ホテルでは、順調に売上を伸ばせているのか、疑問を感じ出していました。確かに毎年売上は伸びていて、営業担当からは好調であると言われています。
一方で、情報交換をしている近くのホテルの総支配人からは「もっと売上伸ばせるはずでしょう」とも言われていました。

 

そこで、縁あって亜欧堂にご依頼をいただきました。

 

このホテルの現状調査をさせて頂いたところ、下記の大きな問題が判明しました。

  •  旅行代理店のブロック数が総客室数の150%と「オーバーアロット」の状態である
  • このためオーバーブックを過度に恐れてOTAに在庫が十分に出せていない
  •  結果として、同地域の他ホテルに比べて10%程度稼働率が低い

 

そんな時に、コントローラーが退職してしまいます。小規模のホテルであったために、ルームコントロール業務ができるスタッフが他にはいません。
そこで、全く経験がないスタッフが急遽、ルームコントロールを担当することになったのです。

 

まずは旅行代理店からの予約数を予測できるように

旅行代理店(AGT)比率が30%を超える宿泊施設では、AGTの動向を無視してコントロールは出来ません。AGTブロックを提供していると、AGTからの予約は断ることはできないからです。
つまり今残っている部屋数(残室)から今後AGTから入ってくると予測される予約数(ブロック消化予測)を差引いた数がWEBなどで販売できる数になります。

 

販売可能数=残室数–ブロック消化予測数(+団体の減少予測:ある程度高度なのでこの時点では採用せず)

 

AGTの比率が高く、かつ周りの施設に比べて稼働率が高くない場合は「ブロック消化予測」が十分でないことが多いのです。
ブロック消化を過剰に多く予測するために、WEBで販売する数を抑えてしまう。
結果、全体的な稼働率が伸びにくくなってしまうのです。

この消化予測、ほとんどの施設ではコントローラーの感覚値になっているのですが、感覚値は正しいとは限りませんし、新コントローラーは未経験者です。

そこで、RMのノウハウを使って誰でも消化予測ができるようにしました。

 

具体的には以下の作業を行っています。

  1. 過去のAGTの予約の伸びをパターン化
  2. 現在のAGTの予約の入り具合とパターンを比較
  3. 比較を元に、AGTの着地予測の数を算出
  4. 着地予測数 – オンハンド数 = 消化予測数として算出

実際には、AGTの現在のブッキングカーブとパターンのカーブの波形を合わせるような作業をしています。形を合わせるだけですから、視覚的にもわかりやすいのです。

図の状況ですと、

  • 残室数 = 客室総数100室 – 全体OH32室 = 68室
  • ブロック消化予測 = AGT着地予測40室 – AGT OH10室 = 30室
  • OTA販売可能数 = 残室68室 – ブロック消化予測30室 = 38室

となるわけです。

この対策のおかげで、安心してWEBに在庫が出せるようになり、ほとんどオーバーブックをさせることなく稼働率はプロジェクト前の76.0%から81.7%へ約5%アップと上昇しました。

 

WEBのADRを伸ばす

WEBに在庫が十分に出せるようになるのと同時期に、ADRの改善にも着手しました。
具体的には下記の項目を見直しました。

  1. 最高料金・最低料金をADRから考えて妥当なものに変更
  2. 販売開始時点の価格を前年度の実績からみて妥当なものに変更
  3. WEBの販売料金をブッキングペースからみて調整
  4. 2名利用の料金を調整し、2名利用比率を高めることでADRを底上げ
  5. プラン構成を見直し、高単価のプランを販売開始

 

最高・最低料金の見直し

AGT比率が高いせいもあるのですが、WEBでの販売価格を十分に引き上げきれておらず、繁忙期にはかなり早い時期に満室になっていました。
逆に閑散期には販売価格の競争力がなく、十分に稼働率が上がっていませんでした。
そこで、ADRの目標値を元に、最高料金・最低料金の見直しを図りました。

このホテルでは、亜欧堂の支援前には料金ランクが5つ程度しかなかったのですが、沖縄の季節変動を考慮してランクを25段階に大きく拡張しました。

ほとんどの施設で、最高料金・最低料金は感覚的に決められているようですが、「ADRからみてこのくらいが妥当」という数値を検証しなければ、コントロールが難しくなるのです。

販売開始時点の価格を前年度の実績からみて妥当なものに変更

リゾート地域にあるこの施設ではかなり早い時期から予約が入ってきているのですが、販売開始時点の価格が妥当でないとあっという間に埋まったり、あるいは予約が伸びないままに当月に達したりという状況に陥りやすかったのです。
そこで前年度の実績と本年度の目標値を元に、販売開始時点の価格を決められるようにしました。

販売料金をブッキングペースからみて調整

WEB販売の料金は、ブッキングペースから判断するようにしました。
目標稼働を大きく上回る予測の日は、販売開始時点の価格から値上げを。
目標稼働を大きく下回る予測の日は、販売開始時点の価格から値下げを。
競合の料金を元にするのではなく、予測を元に自社にとって望ましい価格が設定できるようになりました。

2名利用比率を高める

1名料金と2名料金を分けて販売している施設では、ほとんどの場合2名利用料金の方がADRは高くなります。
そこで、2名用のプランを増やしたり2名料金を調整したりすることで2名利用の比率を高めました。
これらの見直しにより、2名利用比率は27%→34%に上昇しました。

プラン構成を見直し

プランを主に価格帯別に9つのカテゴリーで整理し、それぞれのカテゴリーにプランを作成しました。この結果、高単価商品のラインアップが充実しました。

 

ADRは116.8%に上昇

これらの結果、ADRはプロジェクト前に比べて116.8%に大きく上昇しました。

 

そして次のフェーズへ

1年間のプロジェクトにより、新人コントローラーは自信を持ってコントロールができるようになり、RevPARも大きく改善できました。
2年目も順調に伸びており、RevPARはプロジェクト開始直後の1年間からさらに125.3%に伸びています。
プロジェクト開始前と比べると2年目のRevPARの伸びは157.4%となっています。

現在では応用編に進み、WEB販売だけでなくAGTブロックや料金の見直し、団体管理の高度化、フロント生産性向上と様々な分野にチャレンジしておいでです。

そして、増収を原資に2年連続でスタッフの待遇を改善し、さらにより良い滞在経験をお客様に提供できるように取り組んでいらっしゃいます。

 

この事例のような、レベニュー・マネジメント導入による宿泊部門の増収にご興味のある方はお気軽のお問い合わせくださいませ。

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初歩的だけど効率的な仕事の方法 / メールの整理

基本的な仕事の方法は意外と教わらないものですが、「方法論」をきちんとマスターしておくと、知らないよりも遥かに効率的に仕事を進めることができるようになります。
ホテルで働き始めた新人さん向けに、そういうちょっとした「仕事のコツ」を紹介してみます。

さて今回は、今でも連絡手段として需要な「メール」、その整理方法です。

一番のポイントは「必要なメールをすぐ探せる状態を作る」ということ。

そのため具体的に以下の方法をお薦めしています。

  • フォルダは「仕事の種類や単位」で分ける
  • メールのフォルダとPCのフォルダを同じにしておく
  • フィルター機能で読まなくてもいいメールを振り分ける
  • Inbox Zeroで「処理すべきメール」をハッキリさせる

 

フォルダは「仕事の種類や単位」で分ける

まずは活用の準備、メールソフトのフォルダ分けを考えてみましょう。
フォルダの機能を使わずに受信トレイにメールをためている人も見かけますが、検索機能があるとはいえ、大量のメールに埋もれて必要なメールが探せなくなってしまいます。

目的のメールを探しやすくするにはフォルダを作成して振り分けた方が良いのです。

フォルダを「差出人」単位で分けている人を度々お見かけしますが、これは全くお薦めできません。

例えば同じOTAからのメールでも、「予約通知」もあれば広告宣伝の機会となる「特集の案内」があったり、その内容は様々です。
また、顧客満足改善などの社内プロジェクトなどに参加すると、ひとつのテーマに複数の方からメールが送られてきます。もし差出人単位で振り分けると、同じプロジェクトのメールが複数のフォルダに分散してしまい、探しにくくなってしまいます。

ではどのように分けるのが良いかというと、「仕事の種類や単位」を基準にするのがお薦めです。

OTAからのメールは、最低限「予約通知」とその他に分けた方が良いでしょう。
プロジェクトに参加していれば、プロジェクト毎にフォルダを分けます。

会議や報告書のメールも、その種類毎に分けます。
さらに、会議の重要度順や頻度で並べ方を整理するとよりわかりやすくなります。

 

メールのフォルダとPCのフォルダを同じにしておく

更に、メールのフォルダはPCのフォルダと同じにしておくことをお薦めします。
同じにしておくことでPCで作成したファイルと、仕事のメールの整理のルールが同じになるので直感的に整理しやすくなるのです。

複数の方が使用できる共有フォルダを使っている場合には、さらに以下の点もご注意ください。

「属人名のフォルダ」→「仕事内容のフォルダ」

各個人が使用するので属人名のフォルダがあるのはわかりやすい気もしますが、実際には引き継ぎが困難になるので全くお薦めできません。
プライベート感が出てしまうので、フォルダを開くのが躊躇われてしまいますし、各個人のルールでサブフォルダを作られてしまうと必要なファイルが探しにくくなります。
画像素材などが複数の方のフォルダに分散してしまうといった状況も起きやすいです。

フォルダに番号を振って「意図した順番」で並べる

フォルダやファイルは基本的に「アルファベット順」で表示されるので、普段考えている順番に並ばず、目的のフォルダやファイルが探しにくくなってしまう原因になってしまいます。

例えば、部門毎にフォルダを作る場合、何も考えないと下記のように並びます。

  • 経理部門
  • 宿泊部門
  • 総支配人
  • 総務部門
  • その他
  • 料飲部門

番号を振ることで、組織図の通りに並べ替えることができます。

  • 1_総支配人
  • 2_宿泊部門
  • 3_料飲部門
  • 4_総務部門
  • 5_経理部門
  • 6_その他

この「ナンバリングにより意図した順番に並べる」方法は、ホテルシステムのマスタ設定にも使える手法です。

仕事の種類の下位には「頻度」のサブフォルダを作る

例えば「レベニュー・マネジメント」という仕事の種類でフォルダを作成したら、業務頻度で下記のサブフォルダを作るのがお薦めです。

  • レベニュー・マネジメント
    • 11_ブッキングカーブ
    • 21_フォーキャスト
    • 31_月次分析
    • 32_月次報告書
    • 41_予算作成
    • 42_ AGT料金回答とブロック
    • 43_WEB料金と在庫
    • 99_ その他

10番代は日次業務、20番代は週次業務、30番代は月次業務、40番代は年に1度の業務、という意図で数値を設定しています。

 

フィルター機能で読まなくてもいいメールを振り分ける

ホテルの代表メールアドレスにはかなりの頻度で迷惑メールが送られてきます。
迷惑メールを自動的に振り分けてくれるメールソフトも多いのですが、もし手動で設定が必要であれば設定しておくべきでしょう。

同様に、宿泊予約の代表メールにはOTAなどからの予約通知メールが送られてきますので、同様にメールソフトの振り分け機能で予約通知を溜めておくフォルダに自動的に振り分けられるようにしておく方が良いでしょう。

 

Inbox Zeroで「処理すべきメール」をハッキリさせる

Inbox Zeroとは、受信トレイには「未処理」のメールのみ残し、処理済みのメールは該当するフォルダに振り分けることで、処理すべきメールをハッキリとさせるという整理方法です。
送信済みトレイも同様に、相手からの返事待ちのメールのみ残し、そうでないものはそれぞれのフォルダに振り分けてしまいます。

こうすることで「やらなければいけないもの」だけをハッキリさせることができるというメリットがあるのです。

ただし、Inbox Zeroは上記のメール振り分けの機能と併せて使用しないと、メールの振り分けの手間が増えるだけなので注意が必要です。

すべての処理を終えて空っぽになった受信トレイをみると爽快感があるとも言われていますが、現実にはちょっと難しいように思います。
また、重要度や優先度が設定しにくいという声もあります。

これらの点がInbox Zeroの欠点なのですが、どんな方法にも長所と短所があります。
長所と短所を踏まえて、自分にあう管理方法を見つけていただければと思います。

ちなみに、Inbox ZeroはGTD(Get Things Done)というタスク管理のメソッドの一部です。

 

まとめ

  • フォルダは「仕事の種類や単位」で分ける
  • メールのフォルダとPCのフォルダを同じにしておく
    • 仕事の内容で分ける
    • ナンバリングで意図した順番に並べる
    • 頻度のサブフォルダを作る
  • フィルター機能で読まなくてもいいメールを振り分ける
  • Inbox Zeroで「処理すべきメール」をハッキリさせる
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データを見て考えよう / この国の来日ピークはいつでしょうか?

印象や直感は正しいこともありますが、大きく外すことも多々あります。
直感による間違いを防ぐためにはデータを見て考えたり、直感を確認するクセをつける方が良いでしょう。

そこで、訪日外国人旅行客の国別のピーク時期に関するテストを公開し、その結果を集計しました。
108人の方にチャレンジしていただき、なんと正解率は18.1%止まりでした。

JNTOのデータをもとに2013年以降の訪日外国人旅行客の国別来日時期をグラフにし、そこに皆さんの回答状況を加えてグラフ化しています。

JNTO(日本政府観光局)

 

中国(2016年度 1位)

春節のイメージが強い中国ですが、日本のGWと同じ様に、月の合計で考えると学校の夏季休暇にあたる7月8月がピークとなっています。
(テストでは2016年を優先して7月を正解としました)
まさに、「直感が間違っている」というサンプルですね。

 

韓国(2016年度 2位)

韓国からのお客様は冬に多いと言えそうです。
1月下旬の旧正月や冬休みの影響があるのかもしれません。

 

アメリカ(2016年度 5位)

欧米からのお客様は桜と紅葉を見に来ると言われていますが、実際のデータでは6月が若干上回っている様です。
ここでも学校の夏季休暇の影響があるのではないかと思われます。
※ アメリカの夏休みは6月から9月が主流だそうです。

 

タイ(2016年度 6位)

今回最も正解率が高かったタイのピークは4月で、タイ旧正月である「ソンクラーン」の長期休暇の影響でしょう。

 

シンガポール(2016年度 9位)

シンガポールからのお客様のピークは圧倒的に12月です。
シンガポールの旅行シーズンは長期の学校休暇の時期と連関しており、年間で最も長い休暇となる 11 月中旬~12 月末の学年末休暇が訪日旅行のピークとなります。

 

まとめ

直感は考える筋道の「あたり」をつけるのには適しているとも言えますが、間違っていることが多いのも事実です。
ですので、必ず「データを見て考える」「データを見て確認する」という習慣をつける必要があるのです。

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【国内主要地域のホテルの方へ】今こそフェンスを張ろう!

先日の日経新聞でも取り上げられていましたが、これまでインバウンドの恩恵を受けてきた大阪地区の客室稼働率が前年と比べて減少傾向が続いているとのこと。実際に幾つかの大阪のホテルの方にお聞きしてみると、トレンドの悪さを実感している方ばかりです。この傾向は東京でも同様なようです。

原因は幾つか考えられます。

  • 円高に振れてきている影響 (ホテル側は同じ料金のつもりでも、為替差損でお客様には値上げに感じる)
  • 民泊の宿泊需要吸収が拡大してきている影響
  • 主要地域の高価格を避け、周辺地域に需要が分散してきている

さて、原因も気になるところですが、急を要するのはこの状況を乗り切る対策です。
実際に多くのホテルが値下げをすることで現在の状況に対応しようとしているようです。

でも。

過去にも需要が低下した時に安易な値下げをして、その後需要が回復した時に値上げが行いにくかったことを覚えておいででしょうか。また、昨年度の値上げ幅の大きさがお客様にはあまり良い感じを与えていなかったのではないでしょうか。

極端な価格変動は、消費者の不信感を招きかねません

値下げするにしても値上げするにしても、価格を大きく変えるにはお客様に伝わる相応の理由が必要なのです。

※ 大幅な価格変動の目安としては10%以上を目安と考えています。

 

そこで現在是非検討して欲しいのが「レートフェンス」です。

 

レートフェンスとは、似通った商品の価格差に対する理由づけを行うことで、不要な値崩れを防止する技術です。

代表的なものは航空券です。
早割型の商品は値段は安いのですが、キャンセル料が高かったり便の振り替えが効かなかったり、マイルの付与率が低かったりなどと「安いなりの理由」が設定されています。その為、主にスケジュール変更の可能性が高い出張客には手が出しづらく、同じ時期に予約しようとしても普通運賃型の商品を選ぶ方が良いと考えていただきやすいのです。

基本となる商品やブランドの価値を損なうことなく、需要促進や新たな需要開拓のためにフェンスを展開する事例は、他の業界にも広く見られます。

例えばファッション業界では、ファーストライン、セカンドラインという区別が見られます。
イタリアを代表する高級ファッションブランドであるPRADAは、MiuMiuというセカンドラインを持っています。
PRADAの価格を下げればこれまで手の出なかった層からの購入が期待できますが、現在のブランドイメージを支持する層からは離反のリスクが考えられます(高級ブランドを持つ人は、限定感や特定感などを大切にする人も多い)。
そこで、セカンドラインということでブランドを分離し、ファーストラインのお客様を維持したままセカンドラインで新たな客層を開拓するわけです。

同じような取り組みはレストランでも見られます。

恵比寿にあるロブンションは、2・3Fが「ガストロノミー “ジョエル・ロブション”」となっており、食べログによると予算は30,000円~となっていますが、1Fには「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」で同じく予算は10,000円~となっています。

 

では、ホテルではどうすればよいのでしょか。

 

基本は航空業界の方式に習い、安価なものは条件を厳しくすることが望ましいでしょう。

ちょうど海外OTAからのキャンセル率の高さ(複数のホテルの傾向値で、ある海外OTAはキャンセル率が60~70%にものぼります!)が問題になっていることもありますので、安価な商品ほどキャンセル条件を厳しく(具体的にはキャンセル料の発生時期を早期化・かつキャンセル料率も上げる)

現在ほぼすべてのホテルで使われている宿泊約款は、昭和60年が初版となっており、現状に即していない部分も多々見られます。特にキャンセル料の規定は旅行業のそれと比較しても宿泊約款がゆるい部分もあり、総じて不十分ではないかと考えています。

また、昨今のお客様の反応を見ても、同一商品の価格を需要に応じて上げ下げする幅は3倍以内に抑える方が好ましいのではないかとも考えています。(3倍の料金さはひどい、との記事が散見される)

現在の高単価は、本来のホテルの収益性を維持するという面からは望ましいとも考えられますし、他の海外主要都市と比較しても極端に高単価でないとの指摘もあります。

将来元の価格に戻すこと、ブランドイメージを損なわないことを考えると、低単価による需要促進を狙うのであれば、レートフェンスを張っておく方が望ましいと言えるでしょう。

まとめ

  • 需要喚起のためにADRを10%以上低下させるような価格戦略の変更を行う場合は、レートフェンスを設定する
  • フェンス設定の主な要素は以下のとおり
    • キャンセル料の発生時期 及び キャンセル料の%
    • 決済方法の指定 (事前カード決済のみ など)
    • 日程変更に対する変更手数料の検討 (航空・旅行では設定がある)
    • 部屋タイプ指定不可 (訳ありなどの表現は商品価値を棄損するので非推奨)

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2016年02月時点で適正料金検討の視点を再整理

このところ、民泊及び予約困難となっている状況により各種メディアがホテル業界への注目を高めており、下記のようにホテル業界の料金設定に問題を感じる旨の報道頻度が上がってきています。

簡単に言うと「ホテル業界のこのところの価格設定は行き過ぎた値上げではないか」という疑問が消費者に広まっているということです。
このままでは、ホテル業界そのものの信頼が損なわれるのではないかと懸念しています。

 

そもそも、宿泊料金の「適正価格」については下記の視点での検討が必要でしょう。

  1. 顧客の支払い意向に基づく視点(需要に基づく価格設定もここに属すと考えられる)
  2. 利益創出の視点(損益分岐点を下回る料金設定を避けるという視点)
  3. ポジショニングによる視点(競合他社と比較した競争戦略上の視点)

 

これまでホテル業界は、宿泊需要の低迷を受け3.のポジショニングよる視点を中心としたプライシング(価格設定)を行ってきたと言えます。しかし現在では、主にインバウンド需要の増加を受け、1.の顧客の支払い意向を基にしたプライシングを、インバウンドマーケットに合わせて行っている状態だといえるでしょう。

ただし、マーケット別の価格戦略を取れているホテルが極端に少なく、マーケットを一括して価格を操作するために、国内マーケットも海外マーケットも同じ料金を提供している影響で、国内マーケットに属するお客様の支払い意向との断絶が生じ、料金に問題を感じる国内世論が出来上がってきていると考えられます。

ホテル業界側からは、お客様との意識の差を埋めるためにも、以下の視点で問題提起するなどの取り組みが必要でしょう。

  • これまでの料金が安すぎたのではないか
    • 海外主要都市との料金比較による視点(ニューヨークやロンドンとの比較論)
    • ホテル業の平均賃金による視点(ホテル業の平均年収は一般の平均年収を下回る)
    • ホテル業の経常利益率による視点
  • 国策に寄与しているのではないか
    • 人口減少社会化ではインバウンド(外需)を取り込まないとGDPが維持できない
    • 賃上げを行うホテルもでてきており所得向上に貢献できる(安倍政権による財界への3年連続の賃上げ要請あり)

価格上昇の是非はともかくとして、マーケット毎の料金戦略でも考慮すべき点が多々あります。
チャネル各社が契約上求めるレートパリティ(料金の公平性)がある以上、チャネルごとに料金格差をつけることはできません。また、仮に国内OTAと海外OTAで料金を分けて提供してきたとしても、国内OTAで海外のお客様が予約し、海外OTAで国内のお客様が予約をするケースが増えてきており、これでは国内・海外マーケット毎の料金戦略は取りようがありません。

現在のホテル業界の料金戦略に批判的な世論が形成されつつある背景には、下記の問題点があると考えられます。

  • クローズドマーケットの戦略欠如
  • レートフェンスの欠如
  • 商品構造の問題

 

現在の東京の宿泊料金は海外主要都市のそれと比べて高価というわけでもありません。
例えば2016年2月27日(土曜日)の2名利用時の最多価格帯をエクスペディア上で調べると下記の通りとなりました。

 

世界主要都市料金サンプル

※ 3スタークラスのホテルに絞り、2015年2月14日時点で検索

 

一方で海外主要都市では、企業契約料金を中心とした「クローズドマーケット」への料金戦略が取られています。
日本ではオープンマーケットに対する価格変動が普及した際にクローズドマーケットは固定料金のままであったため、本来安価であるべきクローズドマーケットがオープンマーケットより高価になるなどの不整合が生じ、企業契約の比率が大きく低下し、現在では重要視されていない状況にあります。
※ 一般消費者が購入出来るオープンマーケットに対し、契約などをもとに限定された層が購入出来るマーケットをクローズドマーケットという

しかし現在のマーケット状況下では、企業契約や会員料金などのクローズドマーケットに対する戦略を再構築し、「マーケット毎の顧客の支払い意向」に基づくプライシングを行う必要が強まっていると言えるでしょう。

 

レートフェンスとは、価格を引き下げて需要を喚起するプライシングを行う際に、従来価格の商品価値を棄損しないように、制限を設けるプライシング手法を言います。
代表例が航空券で、早割商品は安い代わりにキャンセル規定が厳しくかつ予約時期や変更に制限があるため、スケジュールが流動的なビジネス層には手が出しにくくなっています。このような「安価な商品には何らかの制限を設けること」がレートフェンスです。
ファッション業界でも主要ブランドのブランド価値を棄損しないためにセカンドラインを出すなどの手法が取られますが、これもある種のレートフェンスです。

これまで日本のホテル業界はレートフェンスを設定せずに低需要下の料金対策を行ってきたため、自らブランド価値を棄損し、お客様に「ホテルの料金はこの程度」という認識を与えてしまったと言えそうです。
レートフェンスを設定できていれば、高需要下ではレートフェンスのある商品を販売しないことで、ブランド価値を棄損せずに平均販売価格を引上げやすくなると考えられています。

 

商品構造の問題は、これまで「宿泊日直前まで残る部屋タイプ」はスイートルームなど高額な部屋タイプであるとお客様に理解していただきやすかったのに対し、スイートルームを持たない宿泊特化型ホテルが直前で宿泊料金を引き上げる方法をとる場合に商品性の差がないことであると言えます。
確かに「どうしてもその日に泊まる必要があるお客様」は宿泊料金を問わない傾向がありますが、一般的なお客様が購入する商品と同じものを高価に販売しては納得感が得られにくいと言えます。このようなプライシングを取りたい場合には、「(スイートルームなど)消費者に分かりやすい高単価な部屋」を作る必要があるように思います。

まとめ

  • 適正料金の設定は以下の3つの視点で考えるべき
    • 顧客の視点
    • 損益分岐点の視点
    • 競争戦略上の視点
  • これまでの料金への問題提起をするべきではないか
  • 戦略の稚拙さを反省するべき
    • クローズドマーケット
    • 客室構成
    • レートフェンス
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予測の正確さを評価する

レベニュー・マネジメントは、「需要予測を基に販売を制限することで、収益の拡大を目指す体系的手法」だと言えます。であれば、「需要予測」が正確であればある程、効果が高くなると考えることができるでしょう。

では、需要予測がどれだけ正確であったか、どのように評価すればよいのでしょうか。
需要予測として使用されるのは「売上(室数×ADR)」です。

レベニュー・マネジメントには「Forecast Accuracy (予測の正確さ)」という考え方があります。
売上の予測がどのくらい正確に行えたかを、誤差の形で評価するわけです。
誤差の算出方法は以下の通りです。

Forecast Accuracy = 誤差 ( 予測値 - 実績値 ) / 実績値

計算式は上記の通りだとして、ではどのくらいの誤差まで許容できるものでしょうか。
レベニュー・マネージャーとして最低限目指すべき 許容誤差の範囲は、前月末の予測値が3% 以内 です。
勿論、ホテルチェーンによって許容誤差の範囲や、評価する売上予測の作成時期は変わってきます。

大切なのは、需要予測をしたままにするのではなく、  Forecast Accuracy を算出することで予測の精度を確認し、より正確な予測が行えるようにすることです。
継続して Forecast Accuracy を評価し続けることで、予測の精度の向上につながるでしょう。

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「手仕舞い」機能は極力使わない

今回はサイトコントローラーの実践的な販売調整の方法を紹介してみます。

 

レベニュー・マネジメント(RM)のセオリーでは「販売停止」は失敗と考えます。
販売停止を避けるには、前もって販売調整を強めてブッキングペース(予約の伸び)を落とす必要があります。
宿泊日の1週間前など早い時期に満室状態になり販売停止するということは、本来そのホテルが獲得するべきお客様を断ってしまう状態だと考えられるからです。

販売調整を強める方法としては、販売価格を上げる方法が最もよく取られていますが、それ以外にも(リピーターなど)特定のお客様のみ予約受注したり、販売経路を制限したりする方法が挙げられます。

 

さて、そうは言っても販売できる部屋がなく販売停止せざるをえない状況になることがあるでしょう。今回はその場合にサイトコントローラーをどのように設定するべきかを考えて見たいと思います。

サイトコントローラーを使用してWEB上の販売を停止させるには大きく2つの方法があります。

  1. 在庫を「0」に調整する
  2. 「手仕舞い」状態にする

a.b.の違いは「再販停止」になるかどうかです。
再販停止とは、キャンセルが起きたとしてもそのキャンセル分を再度販売しない状態です。

満室状態になって販売を停止したとしても、キャンセルが出たものを放置していては最終的に満室になりませんので、本来は「在庫0」に設定し、キャンセル分を追加販売するべきです。
再販停止にするのは「オーバーブック」している時で、客室が不足しているからキャンセルされたお部屋が戻ってきた方が良い状態の時です。

一方で、サイトコントローラーで販売停止状態にしようとすると「手仕舞い」機能を使った方が簡単なことが多く、細かな使い分けを気にしていないホテルの方も多いようです。そのような場合、キャンセルされた分の再販が行われず、結果として満室に至りにくくなってしまうのです。

ぜひ一度、現場運用をご確認ください。
満室になりそうな日に満室になかなかできないのは、こう言った運用上の問題があるのかもしれません。

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宿泊施設で残りわずかな部屋をどう販売するべきか 【結果報告】

調査の目的

訪日外国人観光客の激増もあって、このところ「予約が取りにくい」という報道が多々目につくようになりました。
ホテルや旅館などの宿泊施設の客室数には限りがあり、泊まりたいという方が増えている以上、全てのお客様にご宿泊頂くこともできませんので、「どういったお客様に販売するべきか」という判断が必要になってきます。
このアンケートはその判断の材料として「お客様や宿泊業界関係者がどう思っているのか」を明らかにしたいと思います。

調査方法

Google DOCを使ってアンケートフォーマットを作成、FacebookやTwitterなどで拡散し、202サンプルの回答を得ました。拡散方法の都合上、この手の話題に興味がある方の回答になっており、回答に偏りが生じている可能性があります。また、202サンプルですので一般的な傾向値といえるだけのボリュームには届かず、あくまで参考としてとらえていただくことが必要です。(このため、統計検定処理は致しておりません)

回答者の構成は以下の通りです。

アンケート 回答者属性

 

回答結果

残りわずかな部屋はどう販売するべきでしょうか?

アンケート結果1

普段より料金が高いとしたらどの程度まで許せますか?

普段の土曜日が20,000円で販売しているとし、花火大会(特需)の日がどの程度高くても良いか、という質問です。

アンケート結果2

普段より料金が高いとしたら、最も安い料金に比べてどの程度まで許せますか?

普段の日曜日が10,000円で販売しているとし、花火大会(特需)の日がどの程度高くても良いか、という質問です。

アンケート結果3

上記質問のクロス集計

アンケート結果4

 

上記の結果が参考になれば幸いです。

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ホテル単位の基本戦略を設定する

どのような方法で利益を生み出し企業を維持発展させていくかは非常に重要なテーマです。その方法は「戦略」という言葉で表現されます。
※ 戦略や戦術という「軍事用語」をビジネスに当てはめるのに否定的な見解もありますが、広く普及している言葉でまだ置き換わるものがないため、そのまま使用します。

企業としての大きな戦略

経営学の教科書と言える『競争の戦略』(マイケル・E・ポーター、ダイヤモンド社)によれば企業の基本戦略は「コストリーダーシップ」「差別化」「集中」の三つがあるとされます。

  • コストリーダーシップ
    • 同業他社に比べて低いコストで地位を確立する戦略。
    • コストが低いことで、同業他社と同じ料金で販売すれば高い利益率が得られ、同業他社より安価で販売すれば高いマーケットシェアが得られる。
  • 差別化
    • 際立った特徴を持つ商品やサービスを開発し、ブランドと顧客ロイヤリティを確立する戦略。
  • 集中
    • 特定のマーケットセグメントにターゲットを絞り込む戦略。

 

ホテルごとの戦略構築

上記の戦略が企業の戦略だとすると、実際にホテルの現場で働く人々に求められる戦略は、企業の戦略を支えホテル毎(あるいは部門毎)の利益を生み出す「下位の戦略」と言えるものです。
チェーンホテルとしての戦略と、単体ホテルの戦略と考えてみると関係性がわかりやすいかと思います。

原則として下位の戦略は上位の戦略と矛盾してはならず、上位の戦略を支えるものでなくてはなりません。戦略は階層を持っていると考える方が良いでしょう。

ここではそのホテル毎の戦略を考えてみましょう。

 

ホテルの産業特性とホテルの基本戦略

ホテルの産業としての特性は「売れる数に限りがあり、上限に達しやすい」点に集約されます。

利益を計算式で考えると以下の通りです。

利益 = 売り上げ(単価 × 数量)− 費用

しかしホテルでは売れる数(客室数、レストランのテーブル数、宴会場の会場数と時間)に限りがあります。そして売れる数の上限には需要が集中する日などにあっさりと到達してしまいます。

そうなると、利益を生み出すには単価を上げるか費用を落とすかの選択になります。

理論的には「費用を落とす」ことが戦略となり得るのですが、現実には単体ホテルや単体部門には「売上上昇」を求められることが多く、かつ抜本的なコスト優位を保つ為にはハウステンボスの「変なホテル」に代表されるような大きな構造改革や技術革新が必要となります。
※ だからこそ企業戦略の一つとしてコストリーダーシップが挙げられる
※ 業界標準程度のコスト削減は構造改革や技術革新・大きな投資なく実現可能

その為、一般的なホテルで戦略を考える場合には、まず「単価を取るか」「数量を取るか」を選択してもらうことを推奨しています。

この、「単価上昇」「数量獲得」を選択することを(ホテルの)基本戦略と言います

これ以上の数量獲得が難しい場合、単価を上げるしか売上を増加させる手段がありません。稼働率が100%に達する場合、GMが取ることができる戦略は単価上昇ということになります。
これが企業の戦略だと「稼働率が高い地域に新規開業」という選択肢もあり得ます。

単価上昇と数量獲得は、同時に実施することが非常に難しい。
なぜかといえば、相互に矛盾することが多い戦略だからです。

一番わかりやすいのが「安価な団体を受注するかどうか」でしょう。
まだ販売できる数に余裕がある=数量獲得戦略が基本 場合、安価な団体を受注する方が売上が増加します。
一方で販売できる数の上限に達している=単価上昇戦略が基本 場合、安価な団体を受注してしまうと、より高単価なお客様を断ることとなり、結果売上は減少してしまいます。

ですから、基本的に「単価上昇」と「数量獲得」の戦略は同時進行できないと考える方が良いのです。
※ 戦略実施の結果「単価と数量の両方が上昇した」ということはあり得る

これは宿泊部門にも宴会部門にもレストラン部門にも言えることです。

 

単価上昇と数量獲得を切り分ける目安

宿泊部門の場合、
年間の客室稼働率が80%を超えると「単価上昇」戦略をとることを推奨しています。

どうしても需要が高くならない日曜・月曜の存在がある為、平均の稼働率が80%程度でも満室になる日が多くなってくるからです。

リゾートホテルのように需要の波が大きい場合には、月単位の稼働率から判断して、基本戦略を切り替える方が良いでしょう。

また、稼働率80%はあくまでも「客室数の制限により販売できる数の上限に達している」状態で、「マーケットサイズ(市場規模)の問題から販売できる数の上限に達している」という状態もあり得ます。
この例は日曜日や、人気がない行楽地に建てたリゾートホテルなどが該当します。
この場合であっても数量獲得を狙うことも可能ではありますが、難易度は高いでしょう。

宴会部門では、稼働率の計算が一般化しておらず、かつ現在主流となりつつある稼働率計算も当方の知る限りでは宿泊同様の水準までには使いにくいことがわかっています。
可能であれば、需要が集中する曜日を特定し、その曜日だけでもどの会場にどの宴会種別を取ることができるか一度試算してみることをお薦めします。

販売数の上限という意識がない場合、土曜日には婚礼と季節宴会が集中し実施出来る会場がないにもかかわらず、予算時点で婚礼も季節宴会も件数を増やす(つまり数量獲得戦略をとる)選択をしている事例がみられます。

レストランの場合も同様で、販売数の上限に達する場合には単価上昇戦略をとる必要が出てきます。
しかし、レストランで使用数量の目安として扱われる「回転数」はテーブル単位ではなく席数単位が一般的であることと、そもそも回転数では「販売の上限に対してどの程度まで到達しているか」という共通理解が得にくいという問題があります。

(例:ランチの回転数が1.5だとして、現場感覚では上限と感じるが、GMなど他部門長からは上限かどうか判断しずらい)

そういう意味では、レストランも稼働率を計算した方が良いと思われますが、この分野はまだ共通認識が持てていない状況です。

 

 

まとめ

  • 戦略は「企業としての戦略」「ホテルとしての戦略」に分けて考える
  • ホテルとしての戦略は販売できる数の上限を意識する
    • 数量獲得戦略
    • 単価上昇戦略
  • 宿泊部門では戦略切り分けの目安として客室稼働率80%を推奨
  • 宴会部門・レストラン部門での目安はまだ未整備
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